ビジネスで使う動画は、
「見たら分かる」
という突き放し方は危険です。
その映像を見て、相手がどう感じるかは、
人それぞれだからなんです。
ビジネス動画は、好みとかセンスとか、
そういう曖昧なままにすべきではありません。
なぜそう撮影したのか、
なぜそう編集したのか、
そういうことを
「もっともらしく伝える」のも、
動画マンの技能として必要だと思うんですね。
デザイナーに似たところがあるのかもしれません。
「このロゴには、このような想いを込めました」
という言葉にクライアントが納得して決まる、
みたいなことは聞いたことがあると思います。
動画だって、
相手に「言葉で説明する」ことも大事なことなんです。
目的はいくつかあります。
▼相手にとって必要なことを伝える
動画を見て欲しい人に、
「この動画を見れば、なぜこの商品が他と違うのか、すぐに分かります」
などと説明できます。
▼相手の判断基準を提供する
クライアントに、
「この撮影素材があることで、サービスの温かみを伝えることができます」
なんて伝えれば、判断基準になります。
▼相手に安心感を与える
上司に完成動画を報告する担当者に、
「この動画があることで、御社のホームページのここがこのように強調されることになりますよ」
などと、動画の価値を言葉にしてあげる。
もちろん、その場しのぎで
言葉を口にしていたらバレてしまいますよ。
さて、こういう言葉が
ポンポン飛び出すようになるには
どうしたらいいのでしょうか。
それは、
企画を考える時や撮影の準備段階で、
撮影するすべてのカットについて
解説できるようになっておくことです。
私は常に絵コンテを用意しますが、
一つ一つのカットを描く時、
その目的をロジカルに考えています。
なぜこのカットは相手の顔のアップなのか。
なぜこのカットは全体を写しているのか。
逆に言うと、
一つ一つのカットに対し解説できないのなら、
そのカットは不要だと言えます。
* * * *
参考までに、私がよく使う
「映像の説明」をいくつか挙げておきます。
◎引きの映像
「全体を説明するためのカット」
◎顔のアップ
「感情を伝えるためのカット」
◎商品のアップ
「詳しく見せるためのカット」
◎目のアップ
「真剣さを伝えるためのカット」
◎手先のアップ
「丁寧さ、真面目さを伝えるためのカット」
◎人々が行き交う映像
「勢いや活気を伝えるためのカット」
◎笑顔の映像
「親しみを伝えるためのカット」
これらを組み合わせると、
例えばこんな感じになります。
「最初は工場の全景を引きで撮ります。次に人々が行き交う映像を入れて、その工場が賑やかな場所にあることを伝えます。
工場の中の多くの商品の中から、ある商品のアップを撮影します。この商品の説明が始まるのだと分かります。
工場の職人さんの姿も撮影します。まずは引きで、どんな格好で仕事をしているかを伝えます。
次に手先を撮影し、コツコツ作っている様子を見せ、次に目のアップで真剣さを伝えます。
最後は、職人さんの笑顔で終わり、その商品に対しても親しみを持ってもらうようにします」