私は初心者の方に特化して、
映画制作、動画制作の話を続けています。
さらりと言いましたが、
この「初心者の方に特化」というのは、
意外になかなか大変なことでして。
単に「難しいことを丁寧に話す」
ということではないのです。
一般的な専門家の情報を、
変更して体系化し直す必要が出てくるからです。
使用する言葉も、
徹底して専門用語を置き換えています。
ありがたいことに、
初心者の方からは「わかりやすい」と
ご好評をいただくのですが、
時々、プロの方からご指摘もいただくんです。
「それは違うよ」
「言葉が間違ってるよ」と。
* * * *
単なる愚痴ではなく ^^;
後半、大切なアドバイスにつながるので
もう少しお読みください。
●某国営テレビ局員の方に依頼され、
「簡単なイラストの描き方」の講座を開いたことがあります。
完全にプロである局員の方々に向けて、
早く描く・早く伝える方法をお話ししました。
みなさんプロだからこそ、
情報をはしょって描くことが難しいのだそうです。
●各地でセミナーを開催していますが、
参加者の中に、その分野の専門家が混じることが時々あります。
すると、分かるんです。
彼らが不機嫌そうになっているのが。
そして手が上がり、指摘が始まります。
他の参加者をさておき、専門用語を並べ始めます。
●昨年、テレビに出演しました。
その中で、私の持っている撮影機材を紹介する場面がありました。
やりづらかったのは、それを撮影するスタッフは、
その道の専門家たちであるということ。
しかし、結果的に、大きな発見がありました。
その道の専門家たちも、私の機材に興味津々だったのです!
なぜか。
私の機材は、「個人レベルで購入可能な安い機材」ばかり。
プロの皆さんは、そんなレベルのものは使わないんです。
だから、完全に<機材の層>が異なっていた、というわけ。
私が安い版の機材を紹介する様子を、
そのプロ版の機材で収録している、
という構造に、私自身は心の中で苦笑いしていました。
* * * *
プロ向けの情報と初心者向けの情報は違う。
全く異なるもの、と見られかねないほど。
当然のことながら、私は自分の意見が
世界で唯一の答えだとは思っていません。
「違うと思います」と言われたら、
それも正解でしょうねえ、と思います。
ただ、一つ絶対的なポリシーがあります。
それは、私が「初心者向けに特化している」ということ。
★初心者というのは、
「こんな方法もある。そしてこんな方法もある。ケースバイケースです」
と教えられるのが、一番困るんです。
ケースバイケースで「選ぶことができない」から。
専門家は、どんなケースにも対応できるから専門家。
だから初心者の方には、
「とりあえず、これを一つ覚えておくと無難ですよ」
が一番なんです。
さて、ようやく本題です。
なぜこんな話をしているのか?
動画に関係ないのではないか?
そんなことはありません。
動画を作るとき、多くの方が迷うのが、
「どの情報を出せばいいのかわからない」
ということ。
社内でも、いろんな人がいろんなことを言う。
担当者と上司の間ですら、意見が違ったりする。
じゃあ、あれもこれも入れよう、となるんです。
だから、動画が長くなる。
いかにズバッと最低限にまとめることができるか。
ここに注力する。
これは企画段階で決めてしまう。
その基準は、
「正しいか?」ではありません。
「対象を誰にするか?」です。
同じ情報でも、対象が異なると、大きく内容が異なります。
伝え方だって変化する。
ここをまず理解する必要があります。
他者と差別化が難しい、と多くの方が言います。
だとしたら、対象を絞ってみては?と思います。
そして、情報をまとめ直し、絞ってみる。
こういうことが、動画作りに本当に本当に大切です。
撮影技術云々の前の話です。