インタビュー撮影で私が心がけているのは、
インタビュアー自身のことです。
つまり、聞き手ですね。
一般的な「記事の」インタビューでは、
インタビュアーは、
「なるほど!」
「それでどうなったんですか?」
といったあいづちで、相手の言葉を引き出していきます。
ところがインタビュー「撮影」では、
当然のことながら、
声を出すことができません。
相手の声と、インタビュアーの声は、
かぶってはならないわけです。
じゃあどうするか。
最初に、インタビュアーと相手との間で、
やり取りを決めておきます。
「私が質問をします。そしてすぐ、
こうやって手でどうぞをします。
それから話し始めてください」
インタビュアーが質問し、
話し始めてくださいの合図をし、
そこから相手が話し始める。
相手が話し終わるのを確認して、
インタビュアーも
ワンテンポおいてから答える。
・・・これが撮影方法としては正しい。
でも!
どうしても、テンポが悪くなります。
打てば響くような、
当意即妙な会話ができないのです。
卓球のラリーをするのに、
いちいちボールを手でつかんでる感じ。
これでは、
インタビュー撮影の演出をしたのに、
それを台無しにしてしまう。
いい方法はないのでしょうか。
* * * *
そこで私がやっているのが、
【顔芸】
なのです。
インタビュアーは声は出せません。
出せないのだけど、相手が言ったことに対して、
こちらが反応すればいいわけです。
例えば相手が面白いことを言ったとする。
インタビュアーは声を出して笑えません。
笑えないのだけど、大きく口を開けて
声を出さずに顔全体で笑う。
上半身を揺らしてもいい。
なるほど!の代わりに、
黙って何度もうなづく。大きな身振りで。
驚いたときは、大きく目を見開く。
こういった【顔芸】を、
ちょっと大げさなくらいの身振りで行うんです。
相手の言葉に声で反応する代わりに、
それを補う、
いや、それ以上の反応を【顔で】する。
これ、相手の言葉を引き出すのに十分ですよ。
恥ずかしいですか?
おそらく、インタビュアーの様子だけ見ると、
とても滑稽でしょうね。
しかし、これも大事な、演出。
私は音楽のことは全く分かりませんが、
オーケストラの指揮者が身体全身を動かし、
表情豊かに指揮をしているのが、
とても分かる気がするのです。
演奏者に言葉で伝えることができない。
だから、ああいった表現方法になるのでしょう。
動画のインタビュアーも、
それと似ているのではないかと思うのです。
インタビュアーが恥ずかしいのなら、
インタビューされている人だって恥ずかしい。
互いに恥ずかしいのなら、
そんなの、考える必要もないのです。
どーんと顔芸をしてやりましょう!