2003年ごろのエピソードです。
当時から私は、
「お店の紹介動画を」
「サービスをPRする映像を」
などと依頼を受けていました。
そんな中、
「映画を作ってくれないか」
という依頼が舞い込んできたのです。
とある会社の社長さんから、
彼の自伝映画を撮って欲しい、と。
予算も大してあるわけでもない。
それでも、できる限りのことをやろう、と考えました。
その社長の書いたシナリオを元に、
2ヶ月間夢中で撮影したのです。
ちなみに、主演はその社長です。
そして15分ほどの作品が完成しました。
私は「うーむ」と唸りました。
正直自分の中で納得できる出来ではなかったからです。
当時「本業ではなかった」とは言え、
自分なりのプライドがありました。
謝って、無かったことに
してもらおうか、とも考えました。
ところが、その完成映画は、
その社長さんの誕生日パーティーでお披露目になる、と聞かされました。
もう後戻りはできません。
* * * *
その日は真夏日でしたが、
私は別の汗をかいていました。
ホテルの一間で開催された
社長の誕生日パーティーは、
数百人の招待客で賑わっていました。
そんな中で、映画は上映されたのです。
私は会場の片隅で、カメラマンと二人、
小さくなってうつむいていました。
終わったら、すみませんでした、と謝るつもりでした。
納得いく作品にはなりませんでした、と。
上映が終わり、会場が明るくなりました。
そして、その社長が私の方に向かって歩いてくるのが見えたのです。
私はうつむいていて、
社長のつま先が止まったのが分かりました。
思い切って顔を上げ、
そして、
言葉を失いました。
その社長は、ボロボロ泣いていたのです。
「こんなうれしい日はない」と
何度も何度も私の手を両手で握りしめました。
会場からの帰り道、
コンビニでお酒を買って、
近くの公園のベンチでカメラマンと2人、
ベロベロになるまで飲みました。
私たちも、うれしかったんです。
* * * *
自分の満足度をゴールにしない。
それは一人で練習する時に考えるべきこと。
依頼されたら、
目の前の依頼主のことを考える。
どうやったら喜んでもらえるかを考える。
それが私のポリシーです。
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