先日、友人の結婚披露宴の撮影をしてきました。
新婦からの依頼だったのですが、
結婚式の前の花嫁ほど忙しい人はいません。
おかげで当日まで、
ほとんど情報がない状況でした。
さて、撮影しながら、
「まさにイベント撮影と一緒だな」
と思ったのです。
* * * *
撮影というのは、【事前準備が命】です。
しかし、イベントの撮影というのは、
当日何が起こるか分からない。
いや、もちろん段取りなどは決まっているけれど、
その日にどんな人たちが来るのか、
その人たちがどういった行動をするのか、
なんてことは、予定通りではない。
つまり、イベントの撮影では、
- できる限り情報を集める
- 何が起きても対応できるようにしておく
という2つの準備が必要なのです。
それぞれ、披露宴を例に挙げて説明します。
1)できる限り情報を集める
開催時間や集合場所などは当たり前ですね。
他にも、参列者の人数なども確認します。
そして、席順表を入手しました。
これにより、
どのあたりに親族が座っていて、
どの辺りの人たちが重要で、
どの辺りが友人たちのか、
そんな情報が確認できます。
大変申し訳ないけれど、
撮影の重要度も事前に決めておくのです ^^
さらに、自分がどこに陣取るのかも確認します。
別の結婚式では、
タイムテーブルも事前にもらえましたが、
今回はそれは入手できず。
情報を集めるのは、当日もです。
会場に案内されたら、全体を見渡します。
どこに何があるか。
どこから光が当たり、
どこにマイクスタンドがあるか。
そして、会場の人に聞き込みも開始。
新郎新婦の入り口はどこか。
参列者はどこを出入りするのか。
これらの情報により、
全体の引きの映像を撮るカメラの位置を決めます。
できる限り後ろで、全体を見渡せる場所を探す。
今回の撮影は私一人だったので、
全体カメラは、最初にセットしたら放置となります。
(時々チェックしますよ)
2)何が起きても対応できるようにしておく
これが難しいですね。
一体、何をどう「対応」しておくのか。
私はまず、機材を複数揃えることにしました。
全体のカメラのほか、
寄りで撮るためのカメラ、
そして移動撮影用のジンバル(移動用手持ち器具)、
披露宴の時間に対して十分な、
記録用メモリとバッテリー。
そして私がいつも意識しているのが、
<手元を見ずに操作できること>。
いちいち、手元を見つめながら
機材を触っていては、仕事になりません。
ブラインドタッチとまではいきませんが、
チラッ、チラッ、と見る程度で
機材のセッティングを行えるようにしています。
当然、カメラの設定は撮影開始前に済ませておく。
さらに、撮影中は、液晶画面に
目を奪われないことも大事でしょう。
撮影しながら、目と耳は、
<次に何が起こるか>に集中するわけです。
大きな照明が運ばれて来るとか、
司会者が何か話し出しそうとか、
盛り上がっているテーブルはどこかとか、
親族はどうしているかとか、
カメラのレンズと、意識が、
逆の方向を向いていたりするのです。
そして何かが「起こる」場所に先回りする。
こういったことが、
<何が起こっても対応できる>
ようにするコツだと思います。
探偵のようかもしれませんね。
最後にもう一つ、カメラマンとして大事なことを。
結婚披露宴などは特に、ですが、
基本、カメラマンはあまり声を出せません。
音も収録しているので、
カメラマンが声を発すると、
一番大きな音として記録されてしまうからです。
どうするかというと、
ジェスチャーを大げさにするのです。
大きくうなづいたり、
ニコニコしたり、頭を下げたり。
全て、無言で行います。
同時に、
話しかけられないように先手を打ったり、
話しかけて来るような人から逃げたり、
そんなことも考えています。
会場を動き回るスチールカメラマンと
行動がかぶることが多いのですが、
彼らは大きな声で話すことができる。
あれが、羨ましいですね。
そして
近年、とみに涙もろくなった僕は、
花嫁のスピーチなどは危険です。
撮影しながら、鼻水が垂れて来る。
しかし、すすりあげたりはできない。
その音が入ってしまうばかりでなく、
映像が揺れてしまうからです。
結婚披露宴の撮影で、一番キツイ瞬間です。
* * * *
いかがでしたでしょうか。
披露宴の撮影、というより、
予期できないイベント撮影のコツ、
という風に読んでいただければと思います。