会社でドラマ映画を作ろうとした話


ずいぶん前のことなのでお話ししても時効でしょう。
 
「ブロードバンド」なんて言葉が巷に広がり出した頃の話です。
 
以前勤めていた職場で、
ドラマ映画を作ることになりました。
 
ちなみに、映像とは全く縁のない会社です。
 
ネットを活用したコンテンツを作ろう、
という企画の目玉でした。
 
本業の方でやや余剰金があったのでしょう。
 
売り出し中のテレビタレントを使うという話で、
シナリオ作りもスタートしていました。
 
私がこの会社に迎えられたのは、
ちょうどこのタイミングでした。
 
まだYouTubeもない時代。
パソコンで映像を作れる人、というのがとても珍しかった。
 
(と言っても、私もまだ2年弱の経験)
 
私はまず、会社が契約をした
シナリオライターと演出家の2人に会わされました。
 
正直、第一印象は、
「なんか、うさんくさい人たちだなあ」
でした。
 
業界人というのはそういうものかもしれませんが、
とにかく服装と態度がチャラかった。
 
一応、こちらはお堅い一般企業だったので、
そのギャップが滑稽なほどでした。
 
その後、役者のオーディションも開始。
 
いろんなタイプの役者さんが来て、
面白かったのですが、
オーディションの最中、
僕が観察していたのは、演出家でした ^^
 
彼がどんな立ち振る舞いをするのか。
 
心のどこかで、
「本当に演出家なのか?」と疑っていたのかもしれません。
 
結論としてはまあ、そんなものかな、という印象でした。
 
次に気になったのはシナリオライター。
年齢不詳で、いつもヘラヘラ笑ってる人でした。
 
彼が書いたシナリオも、当然目を通します。
フォーマットとしてはそれっぽく仕上がっています。
 
ただ、その語彙力の少なさに驚きました。
 
まあシナリオは小説と違い、
巧みな言葉を使った心理描写などは不要です。
 
しかしそれでも、幼稚な表現だなあ、
というのが私の第一印象だったわけです。
 
「書き直しましょうか?」
と上司に言いそうになったくらいです。
 
打ち合わせの頻度は上がっていき、
それに伴い、上がってくる見積書の金額も上がっていきました。
 
金額は1000万円を超えました。
 
その金額が業界的に妥当かどうかを言いたいのではありません。
 
ただ、こちらでやろうとしていることを考えると、
明らかにオーバースペックでした。
 
自社のホームページの1コーナーとして
ドラマ仕立ての映像を埋め込みたかっただけ。
 
当時はそれほどの知識はなかったものの、
今でははっきりとオーバーだと分かります。
 
でも当時の上層部はやや浮かれていたな、と思います。
 
やがて、見積額が1500万円を超えたあたりで、
上司がポツリと、
「なんか、あれ、信用できんの?」
と私につぶやきました。
 
そして、話は唐突に、消えました。
 
* * * *
 
上層部から直接聞いたわけではありませんが、
諸々の事情から判断するに、
 
「こちらで全体の判断がつかない」
「金額の妥当性が見えない」
ということが大きかったように推測しています。
 
言われるがままになるしかなかった。
 
何があればより良くなり、
最低限どこまでが必須なのか、
そういうことがこちらで判断できない。
 
今から振り返ると、彼らは、
裸の王様の元に現れたインチキ仕立て屋のような印象になってしまいます。
 
もちろん、実績ゼロ、というわけでもないでしょう。
全くの詐欺師などとは思いません。
 
でもやはり、
「うさんくさい」と思われたのは、
彼らにとって致命的でした。
 
見積額を納得させられなかったのは、
彼らの甘さでした。
 
あれから何年も経ち、
今私はいろんな業界の企業様に対して
動画の作り方をお話しする立場になりました。
 
そして、あの頃の彼らを反面教師に思い出すのです。
 
格好はきちんとしよう。
話し言葉はきちんと使おう。
 
相手からはこちらのレベルなんて分からない。
だからそれをきちんと提示しよう。
 
そう、
 
映像って、他人からはレベルの違いが分からない。
 
映像を見せたからって、
相手には判断のしようがない。
 
これを踏まえて、仕事をさせていただいています。
 
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